スマートシティの実現に向けて|ニューラルポケットのAIエンジニアリング事業
スマートシティの実現にはAIやIoTなどの先進的技術が不可欠であり、日本でも多くの企業が開発を進めています。今回はその中から、AI技術を用いてスマートシティの実現へ貢献する企業、「ニューラルポケット(4056)」について紹介します。
独自開発のAIアルゴリズムを利用したサービスを提供
同社は、「世界を便利に、人々を幸せに」を企業ミッションとし、独自開発のAIアルゴリズムによる画像・動画解析と端末処理(エッジコンピューティング)技術を活用した「AIエンジニアリング事業」を展開しています。
大きく分けて、以下の3方面を対象に、デジタル技術を用いた複合的な都市開発の実現や、各種産業のオペレーションの全面的な刷新に貢献しています。
- モビリティ・移動体に関する領域
世界初となる、スマートフォンアプリケーションによるAI搭載ドライブレコーダー「スマートくん」の提供をはじめとした、最新のAI/IoT技術を提供。
- インフラ・設備に関する領域
製造業や物流、建設業などにおいて、AIカメラ解析を用いた導線解析や作業者見守りサービス、ドローンを活用したインフラ点検支援など、最新鋭のIoTデバイスを活用した現場の円滑なデジタル化を支援。
- 人・モノの動態やセキュリティに関する領域
AIカメラ解析を活用し、街空間や商業施設における利用者の導線や混雑状況の把握と、安心・安全を確保するための見守りサービスなど、多様な形態のサービスを提供。
いずれも、スマートシティを構成するサービスとして展開しています。
市場規模の急拡大が見込まれるスマートシティ
Allied Market Research社による調査レポート(Smart Cities Market by Functional Area: Global Opportunity Analysis and Industry Forecast, 2018-2025)によると、スマートシティの世界的な市場規模は、2025年には2.4兆ドルになると予想されています。
また、画像認識AI分野では、特に成長が著しいアジア太平洋地域で、年率平均25.4%で成長すると予想されています。市場規模の拡大は、同社事業にとって追い風となり得るでしょう。
今後の課題と将来性
同社は2018年に設立し、AIエンジニアリング事業の実社会での活用はスタートしたばかりです。開示されている過去3期の業績を見ると、第1期(2018年12月期)は売上高60百万円、営業損失△182万円であったのに対し、第3期(2020年12月期)の売上高は776百万、営業利益は165百万円でした。売上高のCAGR(年平均成長率)は260%となり、急速な収益拡大となっています。
同社は2020年8月に上場していますが、AI分野のIPO案件として人気も高く、初値は公開価格の約5.7倍となる5,100円となりました。初値形成後はセカンダリーの資金も入り、同月に高値10,850円を付けています。
しかし、2021年8月17日に上場来安値である2,282円を付けるなど、現在は調整局面が続いています。同社の日足チャートは下記。
出典:Trading View
AI事業領域では競合が多く、さらなる市場の拡大に伴い、競合サービスが増加する可能性もあるでしょう。そのような環境の中、今後の成長のカギを握るのは、既存サービスの成熟化や同社技術の活用領域拡大、AIエンジニアリング力強化のための人材採用や人材育成などでしょうか。
スマートシティの実現に欠かせない同社のAIエンジニアリング事業。これからどのように事業を成長させていくのか注目です。
(参考)
・ニューラルポケット株式会社 HP
・同社 有価証券報告書(第3期)
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS06563/c526327e/ad41/457e/8329/fd635dd15de9/S100L3IS.pdf
・同社 2021年12月期 第2四半期 決算短信
・同社 2021年12月期 第2四半期 決算説明資料